コンタクトレンズは、目の悪い人、特にメガネレンズが厚い(度数が強い)人からすれば非常に便利なものです。

メガネと違い、視野が広く、曇らない。

そして、左右の視力差があっても違和感が少ない。


そんな便利なコンタクトレンズですが、使用上の注意を無視した使い方をしていますと取り返しのつかない重大な眼疾患を患う事になります。
コンタクトレンズの本質を良く知り、上手に付き合っていく事が大切です。

 

ご存知の通りコンタクトレンズにはハードとソフトがあります。
皆さんのイメージの中に、『ハードはゴロゴロとして違和感があるから、違和感の少ないソフトレンズの方が目に優しい』と思っている方が多いと思います。

確かにソフトレンズは初めての方でもすぐに慣れ、殆ど目に違和感がありません。

 

しかしそこに落とし穴があります。

 

角膜(黒目)には血管がありません。角膜は空気中の酸素や涙から栄養補給を行っています。
コンタクトレンズはそこに蓋をしてしまうわけですから、裸眼状態の時よりも酸素不足になります。
ハードレンズは拡大してみるとわかるのですが、分子間の間隔が大きく、ザルのような構造になっています。

ですから、大気中から酸素がくると酸素は分子間をダイレクトに通りぬけ角膜に届きます。
ソフトレンズは多くの水分を含んでおり、その水分が酸素を受け止め角膜まで運びます。
酸素を角膜に運ぶのに効率が悪いのです。

角膜は5層からなり、一番内側にある細胞を『角膜内皮細胞』といい、角膜の透明度を保つ役割を担っています。
角膜の酸素不足が長期間に渡り続きますと、内皮細胞は死んでしまい、それは二度と再生しません。
内皮細胞の数が極端に低下しますと新陳代謝を損なわれ、角膜は濁り、視力障害を起こします。
将来、白内障になっても手術を受けることもできなくなります。

 

昨今のソフトレンズは『シリコーンハイドロゲル』という新素材レンズの登場で、従来のソフトレンズの5~6倍の酸素透過性を実現している商品もあります。

 

しかしながら、ソフトコンタクトレンズの長時間・長期間の装用は確実に角膜に負担をかけているという事は覚えておいていただきたいと思います。
1日の長時間の装用は極力避け、家に帰ったら直ぐに外す、お休みの日はメガネで過ごす、週に1,2日は装用ししない日を作るようにするなどして、目を休ませてあげるよう心掛けてください。



遠くを見る時、近くを見る時の目の仕組み

最近、長時間近くの作業をすると目がかすむ。

新聞やスマホなどをいつの間にか遠くに離して見ている。

近くを見る時、メガネを外した方が見やすい。

思い当たる点ありませんか?

 

これらは『老眼』のシグナルです。

 

年をとると、ピントの合わせ能力(=水晶体の調節力)が弱まり、近くが見えにくくなってきます。

つまり『老眼』とは、年をとってきたために生じる調節力の生理的な変化で、目の良い(正視眼)人にも、近視・遠視・乱視の人にも訪れる自然現象なのです。

近点(ピントの合う最も近い距離)は生まれた時から年齢とともに徐々に遠くなり、60歳を超えるまで進行を続けます。

 

※試してみてください。

ご自分の手の指紋にハッキリとピントの合う最も近い距離はどのくらいですか?

 

 

図からもわかるように、おおよそ45歳くらいからその現象が起こり始めます。

よく、老眼鏡を掛け始めると度がドンドンとすすむんじゃないかと思われている方が多いと思います。

老眼鏡を掛けても掛けなくても、年齢とともに近点距離は遠くなっていきます。

ならば無理をして近用メガネ(老眼鏡)を使わないで苦しい思いをするだけ損ですよね。

 

今は様々なタイプの近用メガネレンズが発売されています。

ご自分の用途に合ったレンズをお選びいただき、仕事に、趣味にご活用ください。



皆さんはメガネレンズに色が入っていれば、あるいは色が濃ければ紫外線は防げると思っていませんか。

よくお客様の中に 『紫外線に弱いので色を濃くしてほしい』 という方がいらっしゃいます。

しかい、色は“まぶしさ”を抑えたりはできますが、有害な紫外線までは防げません。

 

そもそも紫外線は眼には見えないものなのです。

 

紫外線には3つのタイプがあります。

 

UV-A

肌を黒くするサンタン。長い年月の間に水晶体に吸収され、白内障の原因のひとつになるといわれています。


UV-B

肌を赤くするサンバーン。角膜の炎症を引き起こす

原因に。

UV-C

オゾン層で吸収され、ほとんど地表に届きません。

 

というように肌と同じく、眼もダメージを受けます。

 

ですから、ましてやレンズに濃い色を入れることにより、まぶしさが緩和されますと瞳孔(くろめ)が普段より大きくなり、なおさら紫外線が入りやすくなってしまいます。       


 

今日、衣料品・化粧品など当たり前のようにUVカットとうたわれていますが、メガネレンズも有害な紫外線をカットするコート(無職の膜)を各メーカー標準装備、あるいはオプション装備として発売しています。

 

色を入れなくても紫外線はカットできるということです。

 

肌だけでなく、大切な眼も紫外線から守ってあげてください。